• SEO
  • loading
  • 小説日記サイトカラフロ
                          【WEB拍手】
スポンサーサイト
カテゴリ: スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
編集 / --.--.-- / コメント: - / トラックバック: - / PageTop↑
  • SEO
  • loading
  • 小説日記サイトカラフロ
                          【WEB拍手】
カテゴリ: 日記
少し頑張った。バイトいってきまーす




2.こじま朝と

 嘘。
 嘘をついていた。誰かにという訳ではなく、自分に嘘をついていた。自分を騙して、言い聞かせていた。
 目の前に映るものを、見えないと言い聞かせて、耳に入るいろいろな言葉を、聞こえないと思い込んだ。僕は弱虫だ。
 自分だけがよければそれでいいって、いつの間にかそう思っている。自分に嫌な事が降り掛かる事が怖くて、見て見ぬ振りをする事しか出来ない。
 偽善者だと思う。
 周りに合わせる事は、僕の幸福なのでしょうか。人の顔をうかがう事ばかりに終始して、それは本当に僕がしたい事なのでしょうか。
 いつからか、僕の心の中はその葛藤で常に満たされていた。なぜ自分のしたい様にできないのか、何を気にしているんだと。
 僕は嘘をつき続けて、それが自分にとって仕方のない事なのだと諦めて、何も問題はないと全てをすり替えている。
 何をしている。
 ふいに声を掛けられて、僕は思考を止めた。目の前に、白と黒のコントラストが現れる。
「今日はもう終わりか?」
 グランドピアノの前で手を硬直させた僕の肩を、ごつごつとした指が触れた。
「いや、まだだよ」
 そう言うと肩から手が離れた。僕は改めて、鍵盤に指を乗せて旋律を奏で始める。単純なコード進行で繋げて、メロディもそれほどこだわらずに、自分の思う様に弾(はじ)く。譜面を用意しないで、僕は自分の好きな様に音を並べていく。そのピアノの音を背景に、高圧的な響きが室内にひしめいていく。
 僕の後方でエレキギターを掻き鳴らす野川義人(のがわ・よしひと)は、何の合図もなしに僕の伴奏に合わせて主旋律を乗せていく。ゆっくりとした伴奏に合わせて、強烈なサウンドをビブラートさせて僕の鼓膜を刺激してくる。
 どう考えても、解け合いそうに無い僕のピアノと野川君のギターが、音楽室内を埋め尽くしていった。次第に、細かいスケールを刻み始めるギターに、僕の伴奏もスピードを速めていく。十六分音符で走り回る僕の上を、さらに細かい音価で凌駕していく野川君の技術に僕は息をのんだ。
「今度はピアノで歌ってみろよ」
 声がかかった。それを聞いて僕はコード進行を展開させる。大きな盛り上がりの前の、小さな布石を置いて、揺さぶって、しかしギターはそれに素早くついてきた。
 始まる、雲を潜る。真っ暗闇の中に、小さな光を見つけて、それに向かって一気に盛り上げる。
 そして、大きな海原を見つけ、一気に高度を上げる様に、指を力強く叩き付けていく。それに合わせて、ギターは大きく音を軋ませた。歌ってみろと、言われているようだった。
 主題を提示する。単調なメロディのなかにしっかりとした輪郭を持たせた主旋律を織り込んで、僕は歌い始めた。声は出さずに、ピアノに歌わせる。
 僕は気持ちが動くままに指を動かして、身体全身で音楽を感じて、そして——ふいに手が止まった。
 エレキギターの残響だけが部屋に満ちて、そして全ての音が死んだ。
「何か、哀愁漂ってるぞ、麻人(あさと)」
「うそっ、そんなつもりは無かったんだけど」
 手をわきわきさせて、指の感覚を思い出そうとする。メロディを思い出そうとしても、何も思い出せなかった。さっきまで何をしていたんだろう。
「後さ、けっこう進行が複雑で、俺にはついていけなかった」
「ほんと? ごめん、ごめん」
 じっとつり目で睨まれた僕は、蛙の様に身動きが取れなくなった。何を訝しがっているのだろう。
「恋でもしたか? 小鳥(ことり)のくせに」
 僕は一瞬だけ野川君が何を言っているかわからなくて、少ししてあらぬ疑いをかけられている事に気がついた。
「恋なんて、した事無いよ」
 僕は野川君に背を向けて、ピアノをぽろぽろと弾きだす。ピアノを弾いていると、自分の心の中といつの間にか向き合っていて、考え事をするときにはいつも僕はピアノを弾く。
 恋をしている?
 そんな感情を考えた事はなかった。
「………小島麻人(こじま・あさと)は人にあらず」
 酷い事を言われた。恋をするという事が、特定の異性を一日中気にしていると言えば、僕は恋をしているのかも知れない。でも、あれは恋じゃないって、僕は言い切る事ができた。
 だから、恋はしていない。
「野川く…………義人は、今恋をしているの?」
「俺はもう悪い大人だから、恋なんてとっくに終わらせて、今は音楽を愛している」
 高速スケールを掻き鳴らし、ポーズを決める野川君。以前、そういう話をした時に、未だに手も繋いだ事もないと言っていたのは嘘なのだろか。多分、本当だと思うけど。
「じゃあ、そんな大人である義人に質問」
「どうぞ?」
「目の前に、とてもピンチな状態に陥っているお姫様がいます」
「……おい、それは童話か? それとも俺を馬鹿にしてるのか?」
 ピックを手裏剣の様に構えて僕を威嚇する野川君に、僕は思わず吹き出した。本当に面白い人だなーと思う。外見は、金髪長髪のビジュアル系なのに、中身は絶対に三枚目俳優か、お笑い芸人だと思う。
「続けるね、主人公はそのお姫様を助けたい、でもお姫様の周りには怖い手下達がうろちょろしていて近づけません」
「……マ○オか? その姫は、○ーチ姫だろ、手下は子○ッパだろ!!」
「質問、あなただったら、どうしますか?」
 僕は試すようにそう言った。
 真剣に話す事ができなかった僕は、変なたとえ話を交えてみた。そのせいで、会話が変な盛り上がりをみせてしまっているのは、すごく失敗したのかも知れない。
「助けるよ、普通、助けるだろ」
 それでも野川君は、僕の質問にまっすぐ答えてきた。恥ずかしいのを隠す様に、ギターをジャカジャカ弾き始める辺り、彼は本当に実直な人だと思う。
「そうだよね、簡単すぎたかな」
「ていうかだな、それ以外の答えはあるのか?」
 野川君は、多分何となくその言葉を口にしたのだと思う。それでも僕の心には、その言葉が深く突き刺さった。思わずつばを飲み込む。
 それ以外の答え。
 僕の答えは、唯一の答えとは違う。だから、僕は今間違えているんだ。
 間違えは、正すべき、という事じゃないのだろうか。
「……で、その姫はスタイルいいのか?」
「義人は、人をスタイルで判断するの? 悪い大人ってそういう意味なんだ」
 僕がからかうと、野川君はふーっと息を吐いてカッターシャツのポケットから棒付きキャンディーを取り出す。女の子がキャラクターの、有名なやつだ。
 それを口にくわえてタバコの様に構える。ほんとに、この人は大人ぶった子供だと思う。
「まあ、今は隠してろよ、いずれわかる事になるだろうが、な」
 ギャイーンとギターを鳴らし、練習を再開した野川君を見て僕はピアノに向き直った。
 得意な練習曲を弾きながら、僕は考えていた。
 目の前に、危機的状況に陥った姫がいたら、助けるのが普通。それは本当に当たり前の事だった。
 考えるまでもなくて、それは誰でも同じ風に考えるであろう事だった。
 僕は、間違っている。



まさかの書き出し。変える可能性大、だけど小島の日常はこんな感じ。
スポンサーサイト
編集 / 2009.12.06 / コメント: 0 / トラックバック: 0 / PageTop↑
コメント
 
Title
 
 
 
 
 
 
Secret 


Pagetop↑
トラックバック
Pagetop↑
プロフィール

COLOR FLOW

Author:COLOR FLOW
物書きをする、平凡かつ人畜無害の木偶の坊。
日記と自分の書いた小説を載せてます。
お暇なときにどうぞ。最近曲も書いてます。
動物占い血液型占い
クリックするとblogramに投票!!
【基本スペック「色流データ」】
【好きな作品「色流リスペクト」】
作曲した物はニコニコ動画にうpしてます
【ニコニコ動画】色流自作曲集
【ニコニコ動画】作業用BGM集
最新作!!


FC2カウンター
リンク
カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

暇なときに押してください!
blogram
blogram投票ボタン
読書カレンダーBLACK
今日の音楽記号

*製作者ブログ*
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
FC2拍手ランキング
QRコード
QR
Feed Me!
小説日記サイトCOLOR FLOWのRSSフィード
アニメPV&名曲集
presented by 原作アニメ.com
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。